法学入門?
先日、高校の後輩から「東大ツアーに来る高校生向けに法学について話してもらいたい」旨の依頼を受けた。
筆者の出身高校は毎年そこそこの数の東大合格者を出す学校で、毎年東大OCに合わせて学校側が希望する生徒を引率するというイベントを開催している。その際、初日にいくつかのコースに分かれてOBが各分野についての話をするというものがあり、法学についてもコースが設置されている。当然東大生が担当するのだが、色々あって東大とは特に関係のない筆者にお鉢が回ってきた。
安請け合いしたのはいいが、何をすれば良いのかさっぱり分からず、たまたま前任者の方が知り合いの知り合い的な感じの方だったのでその方に泣きつきお願いして、どうにかこうにかスライドを作成することができた...
が、なんと肝心の当日は台風8号のせいで飛行機が飛ばず、結局イベントは中止に。
スライドはお蔵入りになってしまった(Slideshareへ投げることも考えたが、個人的な部分が多く、編集すると微妙な感じになってしまうのでやめた)。
まあしばらくブログがご無沙汰になっていたので、せっかくなのでそのスライドからひとネタ使うことにする。
【ぼ】法学部に興味のある高校生に勧めたい書籍
— かめや (@TKameya1) 2019年7月31日
このツイートは件のスライドを作成する際にフォロワー諸氏に投げたものである(その節はありがとうございました)。一般的な入門書から古典的なもの、最新のもの、高校生を一体どこへ突き落とそうとしているのかという素晴らしいものを数多くご紹介いただいたが、最終的にスライドに載せたのは以下の5(+1)冊。
稲正樹・寺田麻佑・松田浩道・吉良貴之・成原慧・山田哲史・松尾剛行『法学入門』(北樹出版、2019年)
法学入門系の本は近年様々なものが出版されており、本学からも何冊かポコポコ出ているが、まあ最新の話題に絡めていたり、法解釈だけでなく法の「作られ方」だとかそういうものへの気配りもされていて1番面白いのはこれだと思う。「法学入門」というのは、決して「民法入門」「刑法入門」などの羅列ではないだろう。
渡辺洋三『法とは何か〔新版〕』(岩波新書、1998年)
これも1冊目の「法学入門というのは...」という考えのもとで選定。
木庭顕『誰のために法は生まれた』(朝日出版社、2018年)
Twitterで推しの多かった1冊。高校生との対話の中で生まれた1冊だし、確かに。
横田明美『カフェパウゼで法学をー対話で見つける〈学び方〉』(弘文堂、2018年)
大学での生活の仕方の羅針盤的な本だと思っている。
草野耕一『未央の夢ーある国際弁護士の青春』(商事法務、2012年)
万が一弁護士志望がいた場合に備えて紹介した自伝的1冊。 弁護士という仕事に魅力を感じることはあまりないが、草野先生のこういった著作は面白く感じる。
安藤馨『統治と功利』(勁草書房、2007年)
こちらもなぜか複数の方面から圧力推薦を受けてしまったので、最後にこっそり載せた。
果たしてこれらの書籍で法学に「入門」しようと考える高校生がどれほどいるのかは不明だが、重ね重ね直接話をすることができなかったのは残念である。